補助金採否の分かれ目は加点項目にあり

いよいよ令和7年度の補助金公募が開始される時期になってきました。3月末で昨年までの事業再構築補助金の最終回が公募締め切りとなり、続けてものづくり補助金が4月25日の締め切りで公募中です。また多くの小規模事業者が申請する小規模事業者持続化補助金の公募要領が公表されたところです。

今までの補助金の変遷や公募要領から、補助金の主旨が大きく曲がってきているのが感じられます。中小企業の成長発展を支えるのが本来の補助金の目的であったと思います。ところが、最近の公募要領ではやたらと「加点項目」が増えているのがわかります。

本来なら補助金の目的に沿った事業を実践する企業を支援するためには、純粋に優れた事業計画で実現可能性や適格性から判断するべきと思いますが、最近では経産省だけでなく厚労省などの政策に沿った認定や行動計画を促進するための手段として補助金の採択審査に反映させる加点項目が一気に増加しているのです。

あまりにも多い加点項目ですので、全ての項目について条件を満たせる申請企業はほとんどいませんが、本来の企業支援の主旨から外れた条件を多く設けることによって、目的に沿った審査の公平性が歪められる懸念を感じます。

多くの申請企業は、認定経営革新等支援機関のサポートを得て、時間とコストをかけて補助金申請に向けて事業計画を練り上げて申請します。ただ、今までの経緯を考えますと、それらの事業計画は専門家が支援している中での熾烈な競争であり、採否審査のボーダーラインにほぼ半数ぐらいが固まっていると感じます。

結局、最終の採否を左右するのは、加点項目と減点項目が大きな分かれ目になります。減点項目については同じ補助金で2回目以降の採択を目論む計画は、最初から100点満点で5点が減点されての審査になると思われますので、最初から不利なスタートラインからの競争になるという覚悟が必要です。

加点項目を甘く見ない

現在公募中の事業再構築補助金、ものづくり補助金、そして公募要領が発表された小規模事業者補助金の加点項目を一度よく見ていただきたいと思います。

ものづくり補助金の公式データで加点項目の数と採択率との関係性が示されています。加点項目を取得していない場合は採択率が29.3%であるのに対して、加点項目が1個の場合:48.1%、加点項目が2個の場合:65.5%、加点項目が3個の場合:79.5%、加点項目が4個の場合:81.7%と驚くべき結果となっています。

もはや加点項目はあったら有利というレベルは遥かに超えています。どんな立派な事業計画を作成したとしても、大半がボーダーラインで採点されることを考えますと、加点項目の数は採否を左右するといっても過言ではありません。

現在公募中のものづくり補助金に至ってはなんと15項目もあるのですが、6項目まで加点申請できるとされています。今までの結果から考えると3項目あれば採択率が80%程度まで上がるとのことですので、最低3項目は必要とする一方で、最後の採否の分かれ目ではやはり6項目を申請した方が勝つと言えるのではないかと感じます。

補助金は紹介した国が実施している「事業再構築補助金」「ものづくり補助金」「小規模事業者持続化補助金」だけでなく、地方自治体など他の公共機関が実施する補助金も数多くあります。それらのほとんどは国の補助金の審査基準を参考にしますので、加点項目も同じようなものが必要条件となってくる可能性が高いです。

重要な加点項目を満たすための支援

加点項目は該当するかどうかだけの判断で良いというものではなく、きっちり他機関での認証や公的機関が実施している計画策定や行動計画を公表登録するといったように、時間と費用がかかるものが多いです。比較的簡単な準備で加点項目に適合する場合もあれば、専門家の支援による計画策定や社内体制の構築などが求められます。

今後重要な準備として補助金での要求加点項目をご紹介し、外部専門家として支援できる範囲についてお伝えします。

ものづくり補助金での加点項目に入っていますが、これは基本的に補助金申請で事業計画を練り上げれば、内容はほぼ適用できるものです。ただ事業者が新しい分野での進出や革新的な事業を実施するための経営革新を盛り込んだものになります。

この計画は事業者が所在している都道府県の知事が認定する建てつけになっており、あらかじめ都道府県に認定されなければ、国が実施するものづくり補助金の申請時に加点項目に入れられないという問題があります。3月初旬に公募開始となった補助金の締め切りが4月25日であることから、今から経営革新計画を策定して認定を取得するのは困難です。

一般の支援事業者は、この経営革新計画策定コンサルティングとして新規申請に20万の支援手数料が相場となっています。

この計画は小規模事業者持続化補助金の加点項目になっています。これは今取り組んでいる事業をより成長させるための計画です。人材育成、財務内容の分析、マーケティングの実践、IT活用、生産性向上のための設備投資を通して自社の経営力を向上することを目的としています。

事業革新性は求められないので経営革新計画よりはハードルは低いです。一方、この計画は、対象事業の分野を主管している大臣が認定するので、窓口は地域経済局や農政局といった国の機関になりますが、地域の補助金の加点項目として有利に働くことがあります。

当計画は3ページ程度の簡便な計画フォームに沿ったものになりますので、一般の支援事業者は、この経営力向上計画コンサルティングとして新規申請に10万程度の支援手数料が相場のようです。

いわゆる認定BCP計画です。ものづくり補助金の加点項目となっています。内容的には体制づくりや災害時などの対応など詳しく整理していく必要がありますので、補助金申請の前に準備して認定を取っておかないと加点項目には入れることはできません。補助金に関係なく融資優遇や税制優遇のメリットがありますので事前に取得されることをお奨めします。

当計画は中小企業庁が窓口になり認証を受ける申請となりますが、計画策定コンサルチングとしての相場としては10万程度で引き受けるところが多いです。

② 健康経営優良法人認定
  企業の健康管理の増進支援に取り組んでいる法人を認定する制度です。
  事業再構築補助金やものづくり補助金に加点項目に入っています。

③ えるぼし認定
  女性活躍を推進している企業認定で、事業再構築補助金、ものづくり補助金の
  加点項目です。

④ くるみん認定
  子育てサポート企業認定で、同じく事業再構築補助金、ものづくり補助金の
  加点項目です。

⑤ 次世代育成支援対策推進法 一般事業主行動計画
  女性活躍や子育てサポートの認定に直接関係が弱い企業経営者に対しても、
  次世代人材の確保と支援の行動計画を求めるもので、20人以上の従業員を
  有する企業が公的機関のサイトに公表する加点項目です

⑥ 成長加速マッチングサービスの登録
  国が支援専門家とのマッチングサイトを運営するにあたって、
  企業が登録すれば加点とするものです

これらの項目については、伴走支援での範囲で企業経営者と一緒に検討して取組み計画の認証を取得する要素が大きいことから、項目単位でのコンサルティング業務というよりも、支援顧問契約した企業との伴走業務の範囲で対応できると考えていますので、幅広い補助金支援コンサルティングについてのご相談をいただければと思います。

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