ベトナム企業とのマッチング
日本企業の海外展開、特に21世紀初頭前後のアジア展開は、いわゆる製造子会社を設立するパターンが中心でした。
この海外製造子会社の設立目的は、大別して2つの事業環境によるものでした。
一つは当時の円高によって輸出が厳しくなり、海外製造拠点を子会社として設立することによって製造コストの削減を実現し、持ち帰り生産で日本にコスト競争力のある製品を日本に持ち帰るためでした。
もう一つは、海外で拠点を持つことによって、欧米市場向けに円高回避機能を持たせるとともに、同じ目的で海外展開した大手組み立てメーカー向けに納入を継続するためが主な目的でした。
21世紀に入って15年余りは、このビジネスモデルが通用していました。ところがこの間にアジアの製造力だけでなく経営力も飛躍的に発展しました。当初、海外展開した日本企業はベトナムなどのローカル企業から調達するには、品質面や対応力の点で大変苦労していました。
ところがコロナ前後から大きく状況が変化してきました。日本の中小企業は少子化の影響から人材不足や事業承継問題で大変深刻な経営課題を抱えています。急場しのぎで外国人の技能実習生を活用してきたのですが、それも追いつかないほど人手不足が深刻化し、とても新たに海外に製造拠点だけでなく、開発機能や営業体制を強化する余力がなくなってきました。
最近、日本企業が海外に製造子会社を設立するという動きが急に冷え込んでいます。これは日本の景気が悪いというよりも、自ら投資をしなくても海外のローカル企業に委託生産や委託開発する方が、より機動的にモノづくりができるようになってきたのです。
特に中国リスクの回避から中国企業自身がベトナムやタイにシフトしたり、合弁戦略をどんどん進めていることから、ASEANがグローバルものづくりの中心地に大きく変貌しています。日本企業は指を咥えてみている場合ではありません。時は今、日本企業は真剣にASEAN企業と経営資源を相互に補完することで新たな付加価値づくりで競争戦略を強化する必要があると思っています。
日本企業は、自分で海外に工場を作るだけでなく、いかにタイやベトナム企業と協業事業を進めていく舵を切るべき時代に取り残されてはダメです。
ただし、公的機関が旗を振るマッチングイベントや商談会は、実施することだけが目的化しているのではないかと感じることが多いです。企業も海外展開を目指すんだ、海外との取引先とのマッチングする機会だと、そういったイベントに無料参加しているだけでは、とても海外事業展開はおぼつかないです。
ではどうするべきでしょうか? 公的機関のマッチングイベントは、やってますというポーズだけであって、イベントだけで安易にビジネスパートナーは見つかりませんし、イベント後の案件化に向けた公的機関の伴走支援は量的にも不十分で、質的にも的外れの専門家もいて極めてお粗末です。
最近では日本の食文化や地域産品の輸出促進に関心が高いのを受けて、やみくもに食品業界の支援だと、本来は公的機関が補助金審査で嫌う「いわゆる流行りもの」のマッチングイベントが増えているのが実態です。
今後最も求められるのは、企業自身が無料セミナーやイベントに参加して取り組んだ気にならず、どのような付加価値を創造していくかの戦略と、そのために海外企業とどう提携していくかの取組みを伴走支援してくれる専門家を見つけることです。
マッチングも企業のニーズや戦略で全く異なります。企業経営者と伴走支援専門家が何度も議論を重ね、どのようなビジネスパートナーを探し、どう取引関係を築いていくかにかかっていると思います。正解は一つではありません。粘り強く何度も海外を視察し、いろんな企業と交流し、お互いWINWINとなるビジネスチャンスを見つけていく活動を継続していくことが重要です。
私は今後日本企業とベトナムを筆頭に海外企業をつなぎ、未来を創造する伴走支援パートナーとしてお役に立ちたいと願っています。「こんな委託事業先を探している」という日本企業、「このような日本企業から業務受託をしたい」というベトナム企業の皆様からのお問い合わせをお待ちしております。
こんにちは!