ビジネスマッチングの支援は今のままでは機能しない

日本企業の海外展開ビジネスモデルは、以前の海外に製造拠点や販売拠点の法人を設立投資して成長しようという戦略から、海外企業の経営資産を活用する委託生産・販売を通じたビジネス提携や協業することで、サプライチェーンの再構築や新たな市場や顧客開発を目指すものに大きくシフトしています。
しかし今まで日本の大手製造会社や流通業からの要請を合わせて必死になって追随してきた中小企業の多くにとって、いきなり海外企業との提携戦略に舵を切れと言われても何から手をつけて良いのかわからず戸惑っているのが現実です。
国や公的機関もそういった中小企業を支援しようと、ビジネスマッチングセミナーやイベントをいろんなところで開催したり、展示会出展経費の補助金制度や共同ブースを設置して中小企業でも出展できる支援を行っています。あるいは実際に企業を公募して特定国企業との商談ツアーを企画実施しています。
ただ残念ながらこういった公的機関の取組みはビジネスの本質を理解していないマッチングイベントの印象があり、実施にあたって手段と目的を履き違えるのではないかと思うのです。
マッチング商談が空回りする理由
公的機関が実施するマッチングイベントにあたっては、企業からもヒアリングし、イベントに招待する海外企業との商談をセッティングします。ただ、商談のスロットをどれだけ設定できたか、商談金額や成約金額を無理矢理アンケートで取ってKPIにしているところが多いのです。またマッチング商談会のような場では、各公的機関がお抱えの支援アドバイザーを同席させてまとめようと努力しています。
しかしながらこういった公的機関が予算をかけて補助金を出したり、無料支援で専門家を同席させたとしても、このマッチングイベントが実際の商談に結び付いたという事例はかなり少ないというのが肌実感です。企業経営の基本であるROI、つまり公的資金の投資に対する回収を正確に評価することなく、毎年同じようなイベントを仕掛けているにも関わらず空回りしているように思われます。
なぜ空回りしているのでしょうか?
マッチングイベントはビジネスの世界では単に名刺交換の段階に過ぎず、時間も30分とか限られています。その場で具体的な商談には進みません。スーパーで買い物するわけではないのです。マッチングは提携や協業を通じたビジネスモデルを実現させるには、商品の評価だけではなく取引先間の信頼関係の構築をどうやって一歩ずつ進めていくかが最も重要です。
ところが公的機関のマッチングではイベントの場や補助金交付が目的になってしまっていて、イベント後の商談は企業任せになっています。30分程度の商談に専門家を同席させたところであまり効果を上げるとは思えません。
もちろん30分の商談でも双方ともに前向きの良い感触をつかめることがありますが、ほとんどの場合は日本企業にしても海外企業にしても、自分たちの商材やサービスを買ってくれる相手を求めているので、「売りたい」X 「売りたい」の関係性ではお互いすれ違ってしまうケースが多いのが実態です。
「売りたい商品」と「解決したい課題」がまともにマッチすると商談が前に進むのですが、100%マッチする案件にはまず届きません。お互いの強みを理解し、それを両者でどうかけ合わせれば部分的であってもWINWINの付加価値を双方にもたらせるのかという視点が重要です。しかしながら公的機関側もお抱えの支援アドバイザーも双方を正しく分析せずに、売りたい商品を相手側にどう伝えるかの視点しかないのが空回りする大きな要因です。
ビジネスマッチングを成功に導く伴走支援のありかた
マッチングイベントや商談会はゴールではなくスタートラインです。さらに売り込みの場ではなく相手先との経営資源の相互補完による協力関係をどう作り上げていくかが成功に導くポイントです。
つまり企業支援を行う側にとって最も重要なのは、スポット支援では意味がなく、企業の強み弱みを十分に理解した上で最適のビジネスモデルを構築する長期間の伴走支援を行うことであり、相手先の立場に立って提携商談による相互メリットの一致点を見出し提案できるかという点に集約されます。
日本企業側においても、公的機関が開催するビジネスマッチング商談会に参加するだけでなく、信頼できる伴走支援アドバイザーを見つけ、経営戦略からサプライチェーンの再構築、販路開拓、マーケティングそして海外企業との提携まで一気通貫で取組める体制を確立するべきかと思うのです。
ただ、信頼できる伴走支援パートナーはそう簡単には見つかりません。一方で公的機関でも伴走支援パートナーを派遣する事業を行っているところはありますが、それを利用できる事業者数は限られており、しかも公的資金を原資とする無料アドバイザーの派遣ですので、実際にはきめの細かいところまで継続的に支援してもらえるとは考えない方が良いと思います。困りごとがあればいつでも相談に乗ってもらえ、メールでも電話でもWEB会議でも、近ければ土日かかわらずすぐに駆け付けてくれるような伴走支援パートナーが側にいてこそ、ビジネスマッチングを成功に導くと思うのです。
「そんな伴走支援パートナーなんてどこにいるのか?」とお叱りを受けそうですが、少なくとも私は認定経営革新等支援機関として海外事業で成長発展を目指す中小企業の伴走支援パートナーとしてお役立ちを提供していますし、企業様のためにならない伴走支援となる専門外の範囲については、無理にお引き受けすることはせずベストの専門家を紹介する姿勢でいます。
一方、公的機関に是非考えてほしいのは、マッチングイベントや商談会を開催し、それぞれの機関で抱えているアドバイザーをスポット的に派遣するだけでなく、企業が自ら確保した伴走支援パートナーの専門家経費への補助金の方がより効果的ということを示してもらいたいということです。実際に大阪府の新事業テイクオフ支援事業では伴走支援専門家の経費を制度に組み込んでいる補助金がありますが、対象者数が少なく是非拡大してもらいたいところです。
ビジネスマッチング成功の鍵は海外事業に精通した伴走支援パートナーとの二人三脚にあり!


